木漏れ日の哀しみ
抜けるような「明るさ」に秘められた、いいようのない“哀しみ” -本当に美しいものと出会ったとき、人は由来のわからない哀しみを覚えるらしい。
古代ギリシアの彫像のいくつかや陶器に描かれた影絵のような絵画は、僕にとって、そうした“哀しみ”を覚える数少ない品々であり、自分の心の宝となっている。
一昨年、上野で開かれていた古代ギリシア展でも -目玉となっていた『円盤投げ』よりも、むしろ無名の作品たちにそれを切々と感じた。
大切な人を亡くした日に見た、キラキラと輝くやわらかな外光、微かな揺らめきもまた、僕には一生忘れることができないものとなっている。
[2013.2.27]